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福岡/博多・長崎/大村のボルダリング・クライミングジム モノクライミングスタジオ[Mono Climbing Studio]

BLOG大村店ブログ

試着会デモシューズレビュー

2024.05.24

お知らせ

 

毎年恒例のクライミングシューズ試着会

今回もデモシューズを履き比べてレビューしてみました。

クライミングシューズはベースの形となる足型というのがあり、同じシューズ、同じサイズでも履く人の足の形によって感じ方が変わります。

そのため、本レビューはあくまで個人的な感想として捉えていただき、シューズ選びの参考としてみてください!

 

■デモシューズレビュー者

大村店店長 仲里

足のサイズ25.5cm/ギリシャ型(人差し指が一番長いタイプの足型)

■現在の愛用シューズ

SCARPA:インスティンクトVSR EU40.5/アルピアWMN EU40

La Sportiva:ミウラー EU38,38.5/ソリューション(初代) EU39/ソリューションリブート EU39

EVOLV:アグロ US9

旧FIVE TEN:ドラゴン US9

SoiLL:フリーレンジプロ US8/アライズ US7.5

 

【Evolv】

①V6 使用サイズ:US8.5

エッジング ★★★☆

スメアリング ★★★

掻き込み ★★★★☆

トゥフック ★★★☆

ヒールフック ★★★★

総合 74点

イボルブの注目の新作シューズ。

「1級を目指すクライマーへ向けたシューズ」というコンセプトの通り、中級者層向けに造りを抑えている印象で、ハイエンドモデル特有のクセがなく、快適さも確保しつつ攻撃力を高めたシューズです。

最近では珍しくなりつつあるストレートソールが採用されており、靴全体の剛性が強く、強傾斜で足を残したい!というような場面で活躍するでしょう。

硬さの分スメアリング性能は抑えられており、どちらかというと岩場でグレード更新を目指すクライマーにおすすめしたい一足です。

 

②ゼニストプロ 使用サイズ:US9

エッジング ★★★★

スメアリング ★★★★

掻き込み ★★★★☆

トゥフック ★★★★☆

ヒールフック ★★★★☆

総合 86点

こちらも注目度の高いイボルブの新作シューズ。

V6と違ってこちらはイボルブのこれまで高めてきた技術を惜しみなく搭載した新たなハイエンドモデルという印象。

足入れの瞬間からイボルブの本気が感じられました。

La SportivaでいうところのP3システムのような「イボラップ」なるシステムでシューズ全体のフィット感が非常に高く、小さなスタンスに乗り込んだ時に力が左右に逃げてしまうような感覚が無く、つま先の力を効率よく発揮できました。

トゥラバーも甲を広く覆い、これまでのイボルブのハイエンドモデル「シャーマンプロ」でトゥフック時にストラップが干渉して滑るという点が解消されています。

性能の高い一方で、その性能を十二分に発揮するには、足置きや掻き込み時の指の動き、力の入れ方などに対して精密な動作が求められます。使いこなすには相当の技術も求められる上級者向けモデルでしょう。

惜しむらくは私にはイボルブシューズの足型が合わず、つま先のフィット感を重視してサイズを合わせるとかかとが吐き出され、かかとのフィット感にサイズを合わせるとつま先に遊びが出来る点。今回はかかとのフィット感を重視してサイズを合わせましたが、足先に遊びがある状態でも高い性能を感じさせられたので、足型が合う人には間違いなく頼りになるシューズです。

 

③シャーマンプロ・シャーマンプロLV 使用サイズ:シャーマンプロ US9

エッジング ★★★★

スメアリング ★★★★☆

掻き込み ★★★★

トゥフック ★★★☆

ヒールフック ★★★★☆

総合 84点

イボルブのもう一つのハイエンドモデル「シャーマンプロ」。新作の「ゼニストプロ」と比べても遜色ない性能で、「ゼニストプロ」ほど使用者に高い技術が求められない点で、こちらの方がしっくりくる方も多いと思います。

足全体のフィット感が高く、各性能が高い水準にあるのは言うまでもなく、特筆すべきは強傾斜を想定したかきこみ、エッジングの性能がありながら、それらと両立することが難しいスメアリング性能も極めて高いレベルにあるということ。

トゥフック時にストラップが干渉してしまう点が惜しいですが、他のイボルブシューズに比べてもヒール性能は極めて高く、その性能バランスの良さから、今後もイボルブを代表するシューズであり続けるでしょう。

 

③シャーマン/シャーマンLV 使用サイズ:シャーマン US8.5

エッジング ★★★

スメアリング ★★★★

掻き込み ★★★☆

トゥフック ★★★

ヒールフック ★★★★

総合 70点

快適性と性能を両立させたイボルブにおけるダウントゥの入門的モデルの位置づけで、「シャーマン」<「V6」<「シャーマンプロ」<「ゼニストプロ」の順にシューズ性能とクセ具合が段階的に並んでいるので、中級者を目指すクライマーに先ずおすすめしたいシューズ。

イボルブシューズに搭載される独自の技術「ラブバンプ」はダウントゥを強めて掻き込み力を上げる従来の方法(ダウントゥが強くなるほど足への負担が上がり、快適性は落ちる)と異なり、足のつま先が指を立てて「カチ持ち」のように曲がる構造になっており、ダウントゥを抑えて快適性をそのままで掻き込み力を上げています。

 

④ファントム/ファントムLV 使用サイズ:ファントム US9

エッジング ★★★★☆

スメアリング ★★★★

掻き込み ★★★★☆

トゥフック ★★★☆

ヒールフック ★★★☆

総合 76点

先に断っておきたい点として、デモシューズが既にかなり履きつぶされていて、性能を十分に発揮できていない印象を受けました。(相当伸びるシューズともいえます)

あまり使用率の高くない小さいサイズや大きいサイズはそこまで履きつぶされていないので、感じ方が変わると思います。以前にデモシューズとして履いたときより、今回かなり印象が異なりました。

岩場クライマーとして世界各地で高難度課題の初登をするレジェンドクライマー「ダニエル・ウッズ」の愛用シューズということで有名なシューズですが、彼の登りのスタイルにも合う、強傾斜での登りに特化した一足です。

履きこなすことでシューズも柔らかくなり自由度も上がるので、玄人は新品シューズとすこし馴染ませたシューズとで使い分けるのがもオススメです。

 

⑤クロノス/キラ

エッジング ★★

スメアリング ★★★☆

掻き込み ★★

トゥフック ★★☆

ヒールフック ★★★☆

総合 50点

ファントム同様、使用したデモシューズがかなり履きつぶされており、本来の性能が発揮できていないように思いますが、以下レビューです。

初中級者をターゲットとしたモデルなので、履きやすさが重視されており、長期間の使用でも快適に登れます。クライミングシューズの値上げが続く昨今、初級者クライマーにとって、レベルアップに応じた買い替え前提となる安価なエントリーモデルを購入するのか、履き心地をある程度犠牲にしても一定の技術レベルまで対応できて長く履ける高性能モデルを選ぶのかは悩ましいところだと思います。

初めてのクライミングシューズとしてクセの強い上級者モデルを選ぶと、クライミングシューズ特有の窮屈さや、指への負担に耐えられず折角買ったのにシューズを履くのが苦痛ということもよくある話です。

「クロノス」「キラ」は、履きやすさ、快適性を保ちつつある程度のレベルをこなせる初中級者向けモデルとして初めての1足におすすめなシューズです。

 

【PER-ADRA】

①S-01/S-01 LV 使用サイズ:S-01 EU40

エッジング ★★★

スメアリング ★★★★☆

掻き込み ★★★☆

トゥフック ★★★★☆

ヒールフック ★★★☆

総合 76点

「日本人による日本人のためのクライミングシューズ」というコンセプトの日本メーカー「PER-ADRA(ペルアドラ)」を代表するシューズで、日本人の足型に合わせた造りでフィット感は極めて高いです。

トゥラバーの形状やヒールの側面にもフリクション性能の高いソールを張るなど随所に拘りが感じられるのも好印象です。

兎に角癖がなく、履き込むほどに味の出てくるシューズ。初級者の1足目としても有能ですし、足遣いを上達させたい中級車や、上級者のトレーニングシューズとしてもおすすめできます。

こちらもデモシューズがかなり履き込まれており、新品に比べてかなり柔らかくなっています。

そのため、デモシューズでサイズ合わせをすると新品シューズで思っていた履き心地でないとギャップに戸惑う声をいただいているので、デモシューズに+0.5から1サイズ大きめで検討することをおすすめします。

 

②K-02/K-02 LV 使用モデル:K-02 EU39

エッジング ★★★★☆

スメアリング ★★★★

掻き込み ★★★★

トゥフック ★★★★

ヒールフック ★★★★

総合 82点

こちらは「S-01」をより攻撃的にしたシューズの印象です。2種類のシャンクを採用しているらしく、土踏まずのソフトな造りはそのままに、つま先にしっかり剛性が出ています。そのおかげで細かなホールドも力が逃げることなくしっかりキャッチできます。

デモシューズの展開サイズが少なく、適正サイズより小さなサイズでの試着でしたが、あまり違和感なく履けたのでS-01よりやや小さめに合わせてもよさそうです。

ヒールの作りが他メーカーと違い、凹凸がない分、靴に頼ったいわゆる引っかけるヒールフックではなく、足の力をしっかり必要とされる面で効かせるヒールフックが必要なので、少し慣れが必要ですが、その技術をモノにすれば自由度の高い心強い相棒になることでしょう!

 

【Black Diamond】

①メソッドS/メソッドS W’s 使用サイズ:メソッドS US8.5

エッジング ★★★☆

スメアリング ★★★★

掻き込み ★★★★

トゥフック ★★★☆

ヒールフック ★★★★☆

総合 78点

高コスパシューズとして注目度の高い「メソッドS」。実際の性能はどうなんだろう、ということで今回の試着を楽しみにしていたシューズですが、その期待を裏切ることなく非常に高い性能を有しています。

適度な柔らかさでエッジングもスメアリングもそつなくこなすことが出来ます。

高いヒール性能が特徴で、La Sportivaの「ソリューション」を彷彿とさせる円形のヒールカップは、高い剛性があり、ヒールカップの凹凸に引っかけることでエッジの立ったホールドへの対応も可能です。

ソールの裏のランドを省略することで製造コストを抑えているらしく、リソール時に制限が課される可能性があり、耐久性の面でやや劣ります。使用後はカバンなどに入れっぱなしにせず、日の当たらない換気のいいところに保管する、早めのリソールを心掛けるなど、シューズのケアにも気にかけてあげましょう!

 

②メソッド 使用サイズ:US8.5

エッジング ★★★★

スメアリング ★★★★

掻き込み ★★★★

トゥフック ★★★

ヒールフック ★★★★

総合 76点

「メソッドS」に比べてやや硬めの設計になっており、岩場でのスポートルートへのトライを想定して、長時間の使用にも耐えられる快適性と、エッジングをメインにした指先の剛性の高さが特徴です。

1本ベルクロのスリッパタイプに比べて、2本のベルクロで足全体のフィット感を高めている一方で、トゥラバーの範囲が制限されるためにトゥフック性能は少し劣りますが、メソッドSと同じくヒールフックは高い性能を発揮します。

求めるクライミングスタイルに合わせて「メソッド」と「メソッドS」を使い分けると良いでしょう。

 

【SCARPA】

①ドラゴ 使用サイズ:EU40

エッジング ★★★★

スメアリング ★★★★

掻き込み ★★★★☆

トゥフック ★★★★

ヒールフック ★★★★

総合 82点

SCARPAの人気シューズ「ドラゴ」は、ロングセラーモデルで性能バランスは極めて高いです。強烈なターンインのため使用者の足型を選びますが、足型の合う方にとっては最高のシューズといえます。(私は足型が合わず履くのが辛いシューズです。親指が一番長いエジプト型の足型の方におすすめ)

クライミングメーカーだけでなく様々なシューズで使用されるビブラムソールのグリップ力は高く、ドラゴに採用されているXgrip2は適度な柔らかさと剛性でエッジング、スメアリング性能のバランスが高いです。甲を広く覆うトゥーラバーが高いトゥフック性能を実現させ、強いダウントゥにもかかわらず自由度の高い足使いが可能です。

後年に発売された「ドラゴLV」は細身の足型とヒールカップを浅くしたことでより日本人に合いやすい足型に。今回のデモシューズラインナップにはありませんが、白黒のスタイリッシュな外見からも人気のあるシューズです。

 

②インスティンクトVSR 使用サイズ:EU40

エッジング ★★★★☆

スメアリング ★★★★

掻き込み ★★★★

トゥフック ★★★★★

ヒールフック ★★★★☆

総合 88点

私が10年近く愛用しているシューズで、こちらもSCARPAのロングセラーモデル。インドア、岩場のシチュエーションを選ばない万能モデルで、特にトゥフック性能に関しては、このシューズを超えるものは未だ出会ったことがありません。(※私はラバーパッチを広く張る改造をしてます)

癖のない使用感で、使用者の技術レベルに合わせた自由度の高い登りが可能です。

性能の高いシューズは大なり小なりシューズに合わせた登り(動き)を強要される一面がありますが、VSRは自分の登りのスタイルを邪魔しないところがとても魅力です。

まだ試したことない方には、是非一度履いてみてほしい一足です。

 

 

以上今回も長くなりましたが、読んでいただきありがとうございました。

シューズ選びの参考になれば幸いです。


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